現在我々の身のまわりには非常に多くの風景写真が存在します。 書籍, 新聞, パンフレットなどの印刷物の他にも, World Wide Web上に存在する画像, テレビ番組や劇場映画などの一場面にも風景は記録されています。

そういった風景写真の撮影場所や撮影方向を明らかにすることは,次の点で役に立ちます。

  • 位置指向検索向けメタデータ生成
    • 位置を用いた検索(例 Googleマップ)のコンテンツとして写真が利用できるようになります。
  • 写真の記録としての価値の向上
    • 写真の撮影場所を明らかにすれば, それらの記録写真としての価値が向上します。例えば劇場映画の一場面であってもその撮影場所を明らかにすることで, その映像は撮影当時の街並みや自然の記録となります。
  • 写真の検証
    • 報道写真をはじめさまざまな映像や写真が説明通りの場所で撮影されたかどうかを、判定するのは一般には難しいことです。もし与えられた映像や写真の撮影場所が明らかになれば, それはその説明の真偽の判断材料となります。

撮影済み写真の撮影位置特定作業を人手で行うとすると多大な労力が必要となります。 現在はデジタルカメラとGPSの組み合わせによって撮影した日時と場所(緯度と経度)を容易に記録することができますが、その手法は既に撮ってしまった写真については適用できません。

そこで我々は風景写真の撮影地特定をなるべく自動的に行う方法の研究に取り組んでいます。

その第一歩として、現在、我々は風景写真の撮影地特定作業支援システムの開発に取り組んでいます。対象とする写真は, 被写体の地形が撮影地特定の主な手掛りとなる風景写真です。 システムは入力として探索範囲と人間が写真から抽出した風景の特徴を受け取ります。そしてシステムは、与えられた特徴に良く合う風景を撮影できるカメラの位置, 撮影方向, 焦点距離などをその探索範囲内から探索し出力します。

当面はこのシステムの開発を行いながら、探索のために記述すべき風景の特徴、効率の良い探索アルゴリズム、閲覧しやすい探索結果の提示方法などについて研究しようと考えています。

撮影地探索システム利用イメージ画像

撮影地探索システム利用イメージ画像

注意

このページに掲載している画像の一部を作成するのに国土地理院「数値地図50mメッシュ(標高)日本I, II, III」を利用しました。 Google EarthはGoogle社の地球儀ソフトウェアです。